夏休み木工教室

令和二年の夏休みは、コロナさんのせいで三週間しかなくなるし、外出するのもはばかられるし、友達とも遊べないしで、子ども達にとって、あまり良い思い出も作れなかったのではないでしょうか。

例年、夏休みになると、児童館などで小学生に向けた木工教室の講師をさせてもらっています。今年は七月分は延期か中止になりましたが、八月はコロナ対策を行った上で開催されました。

密を避けるために人数を制限したり、グループで使っていた作業台を、一人ずつ使える小さな作業板に変更しました。

友達との距離を取り、マスクをしたままで、おしゃべりもできず黙々と工作しているので、楽しんでもらえたか、いささか不安もありましたが、あっという間に今年の夏休みの木工教室は終わりました。木工教室が良い思い出になってくれたら嬉しいのですが。

来年の課題は何にしようか、また考え始めます。H

白米を練った続飯糊(そくいのり)で貼り付け
おでん四本
みんなで練る
自作の見本。子どものと比べると勢いが足りない

ぐんまアビリンピック2020

アビリンピックは、障害のある方が、日ごろ培った技能を競う大会です。

開催が危ぶまれましたが、当初の予定の7月から8月に延期することで、何とか行う事ができました。
私は、木工競技の競技用材料の提供と、運営の手伝いをしてきました。
無観客、開会式なし、表彰・閉会式もなしという簡素な大会でしたが、出場した選手の課題の出来映えは見事なもので、コロナの影響下でもしっかりと練習を積んできたことが分かりました。H

仕口について、その一(ほぞ)

古い中国の言葉に「臍を噛む」というものがありますが、この「臍(ホゾ)」と木材加工のホゾとは別物です。 「臍を噛む」 の「臍」は「おへそ」のことです。木工で言うところのホゾ加工とは、複数の部材を組み合わせる際に、それぞれに凹凸の加工を施し差し込むことで、強い接合を得ることができる加工のことです。

 釘やネジやダボを使用しない加工法としてよく用いる方法です。出っ張ってる方をオス、へこんでいる方をメスと呼びます。

ダイニングテーブルの各部材(天板以外)

 加工する位置と、はめ合いの固さがとても重要なので、正確に墨付け(位置だし)をして、慎重に加工します。緩いとグラグラ、キツ過ぎると木が割れることもあります。理想は、ハンマーで叩いて入るくらいの適度なキツさです。それも柔らかい木と堅い木によって変えます。

 ホゾ先は、角をとって穴に入り易くすると同時に、先端で接着剤を穴の奥にしごいてしまわないようにします。

小根付きホゾの接着

オスとメスの両側に薄く接着剤を塗り伸ばし、しっかりと叩き込んだのちに、クランプ等で数時間圧締して接着剤が固まるのを待ちます。この様な仕口で組まれた家具は、すこぶる頑丈でそうそう壊れるものではありません。 H

ミルクカゼイン接着剤で家具を作る

 ミルクカゼイン接着剤は強アルカリ性のため、タンニンを含む樹種は、黒く変色します。また、木材の硬さが増すと木破率が大きく低下するので、軟らかめの木材の方が使用に適しています。(木破率とは、接着した木材に力を加えた時に、接着面ではなく木材自体が破壊する率)

 接着力は、一般的な白の木工用ボンドと同程度なので、家具作りには問題ないと言えます。

ミルクカゼイン・消石灰・重曹・硼砂の粉末と、適量の冷水を素早く溶き、ねっとりするのを待つ。一時間程度待ち、ねっとりして来たら双方の接着面に十分接着剤を塗布し、ハタガネ等でしっかり圧締します。塗布後の手順は、ほかの一般的な接着剤と同様です。

写真の箱いすentoの素材はシナです。シナも接着剤の触れた箇所は茶色に変色するので、注意しながらの作業です。

ミルクカゼイン接着剤

 今の木材加工の現場では、木材を接着する際、多くは合成樹脂接着剤を用います。合成樹脂接着剤とは、いわゆる白い木工用ボンド(酢酸ビニル系)をはじめ、エポキシ系やウレタン系を含む化学的に合成された接着剤のことです。これらの接着剤は、安価で使い勝手もよく、接着性能も安定しているので、工業用からDIYまで広く使われています。

ミルクカゼイン接着剤は、天然系接着剤と呼ばれます。人類は古代エジプトの時代から、木材の接着に天然物を使用していたと言われています。「ミルクカゼイン」や「にかわ」、「大豆グルー」などは、動植物のタンパク質が原料になっています。また、炊いた白米を練ってペーストにしたもの「続飯糊(そくいのり)」も木材接着に使えます。つまりデンプン糊ですね。あとは漆塗りの「漆」も接着剤としても使われていました。ですが、現在これら天然系接着剤があまりが使われなくなった理由は、

  • 製造コストがかかる。
  • 製品管理に手間がかかる。
  • 使用時の工程が複雑で時間がかかる。
  • 合成系接着剤と比べて接着性能が不安定である。

この辺りではないかと思います。

ミルクカゼイン接着剤の成分は、

  • ミルクカゼイン(ミルクタンパク質)
  • 消石灰
  • 重曹
  • 硼砂

これだけです。これらの材料を決まった分量の冷水で溶いて、写真程度の粘度になるまで置いた後使用します。数時間後にはゼリー状になり接着力がなくなるので、それまでにしっかり使い切ります。

当事業所では、ミルクカゼイン接着剤を使用しています。使い勝手の悪さや樹種による相性などもあり、すべての製品に使用できるわけではありませんが、シックハウスやVOCの問題も気になる昨今、VOCフリーの家具を作っていきたいと思っています。

子ども部屋の収納

知り合いの建築事務所からの依頼で、築30年程のコンクリート造のお宅のリフォームをするにあたり、お子さんの部屋の収納と、ロフトへ上がる階段を兼ねた白くて大きな家具を製作しました。

幅3メートル、高さ2.5メートル、奥行き70センチ。あらゆる所に引き戸か、開き戸か、引き出しか、ふたがあり、たくさん収納できます。

5分割にして車に載せて、どうにか階段も上がれました。全部組み立てると、大きすぎてカメラに収まりませんでした。H

若年者ものづくり競技大会閉幕

福岡で開催されていた2019年度の若年者ものづくり競技大会に、木材加工職種の補佐員として参加してきました。

私は何年も携わっているので、毎年同じよう気分で臨んでいるのですが、参加選手にとっては一発勝負の本番なのです。不本意な出来栄えに肩を落とす選手もいました。

競技なので、時間制限があったり、細かいルールがあったり、作品の出来栄えで順位を決めたりしますが、実はこの大会には、優劣を競うことよりも、もっと大事な目的があります。

競技を通して、木材加工やその他の職種のものづくりにより興味を持ってもらう事。さらに技能に磨きをかけるきっかけにしてもらう事。競技を見た人にものづくりの楽しさを知ってもらう事などです。

福岡滞在中に、明太フランスは食べられませんでしたが、バジル豚骨ラーメンなるものをいただく機会に恵まれました。緑色でした。 H

小学生が木工教室で作るカレンダー

今年の夏休みの小学生向け木工教室の課題が出来ました。

毎年一つ新しいものを考えるのですが、形になるまでにかなり悩みます。今回も試行錯誤を繰り返して、ようやく永久カレンダーの完成に至りました。

木工教室では、かなづちとノコギリは必ず使わせるようにしています。普段触れる機会が少なくて、木工らしい道具で、子どもでも使える道具かなと。

参加する子どもたちが、どんな作品を作るのかと想像しながら準備をしています。ですが、毎回私もびっくりの、予想をはるかに上回るものを生み出してくれるので、今年も楽しみにしています。

村上雅紀さんの彫刻を見せてもらう、の巻

前橋で活動しているアーティスト、村上雅紀さんが、ご自身の彫刻作品を、旧前橋文化服装専門学校に展示しているとのことで、見せてもらいに行ってきました。

かつて教室だったという展示室に入ると、赤と青と黄の立体が、台の上のアクリルケースの中に収まって、きれいに並んでいました。この三色の立体は、同じ大きさに切った色紙を、各100枚ずつ重ねて並べたものです。

それを、組み合わせのパターンを変えて、24種類の彫刻として展示してあります。因みに、展示するための台は、うちで製作したものです。

今回は撮影のための展示だそうで、一般公開されていないので、撮影時以外は窓も直射日光が当たらないよう目張りしてあります。

同じ(様な)ものが整然と並んでいると、きれいですよね。今回このような素晴らしい作品に関わることができてよかったです。 H

木材について、その一(板目と柾目)

製材された木材には、木目が現れます。この木目とは、色の濃い部分と色の薄い部分が、交互に重なり層になっているので、柄のように見えるのです。

ちなみに、色の濃い部分は晩材と言って、冬にゆっくり成長して硬い性質を持っていて、色の薄い部分は早材と言って、夏場にぐんぐん育って、晩材と比べ柔らかい性質があります。濃い部分と薄い部分一つずつで、一年の成長を測れます。

この木目とは、年輪を垂直方向に切った断面の柄のことです。

丸太から板に製材する時の、年輪に対する切る角度によって、木目の出方が変わってきます。

写真の上のタケノコのような木目の板を「板目」、下の真っ直ぐな層のような木目の板を「柾目(まさめ)」と言います。

これら二つの板は、見た目だけでなく、木材としての性質も異なりますが、またそれは次の機会に。 H