NOTICE! この記事は 2020年5月 に書かれたもので現状に合わない可能性があります。
ミルクカゼイン接着剤は強アルカリ性のため、タンニンを含む樹種は、黒く変色します。また、木材の硬さが増すと木破率が大きく低下するので、軟らかめの木材の方が使用に適しています。(木破率とは、接着した木材に力を加えた時に、接着面ではなく木材自体が破壊する率)
接着力は、一般的な白の木工用ボンドと同程度なので、家具作りには問題ないと言えます。
ミルクカゼイン・消石灰・重曹・硼砂の粉末と、適量の冷水を素早く溶き、ねっとりするのを待つ。一時間程度待ち、ねっとりして来たら双方の接着面に十分接着剤を塗布し、ハタガネ等でしっかり圧締します。塗布後の手順は、ほかの一般的な接着剤と同様です。
写真の箱いすentoの素材はシナです。シナも接着剤の触れた箇所は茶色に変色するので、注意しながらの作業です。
NOTICE! この記事は 2020年5月 に書かれたもので現状に合わない可能性があります。
今の木材加工の現場では、木材を接着する際、多くは合成樹脂接着剤を用います。合成樹脂接着剤とは、いわゆる白い木工用ボンド(酢酸ビニル系)をはじめ、エポキシ系やウレタン系を含む化学的に合成された接着剤のことです。これらの接着剤は、安価で使い勝手もよく、接着性能も安定しているので、工業用からDIYまで広く使われています。
ミルクカゼイン接着剤は、天然系接着剤と呼ばれます。人類は古代エジプトの時代から、木材の接着に天然物を使用していたと言われています。「ミルクカゼイン」や「にかわ」、「大豆グルー」などは、動植物のタンパク質が原料になっています。また、炊いた白米を練ってペーストにしたもの「続飯糊(そくいのり)」も木材接着に使えます。つまりデンプン糊ですね。あとは漆塗りの「漆」も接着剤としても使われていました。ですが、現在これら天然系接着剤があまりが使われなくなった理由は、
- 製造コストがかかる。
- 製品管理に手間がかかる。
- 使用時の工程が複雑で時間がかかる。
- 合成系接着剤と比べて接着性能が不安定である。
この辺りではないかと思います。
ミルクカゼイン接着剤の成分は、
これだけです。これらの材料を決まった分量の冷水で溶いて、写真程度の粘度になるまで置いた後使用します。数時間後にはゼリー状になり接着力がなくなるので、それまでにしっかり使い切ります。
当事業所では、ミルクカゼイン接着剤を使用しています。使い勝手の悪さや樹種による相性などもあり、すべての製品に使用できるわけではありませんが、シックハウスやVOCの問題も気になる昨今、VOCフリーの家具を作っていきたいと思っています。